歯周病治療の最終目標が変わりました

 先日オリンピックの開会式がありました。どのような演出になっているのかを楽しみにして、眠気に目をこすりながら久しぶりにTVの前にかじりつきました。

 私が一番好きだった演出は、たくさんのドローンが今大会のシンボルマークを作り、それからさらに立体的に広がって地球をかたち作っていった場面でした。みなさんの心に残ったシーンはどのような場面だったでしょうか?

 改めまして院長の寺﨑です。さて、今回は歯周病について少しお話をしてみたいと思います。

 今日の内容は前にも一度書いたことがあるのですが、歯周病は初期の段階では気になるような症状がほとんどなく、歯がぐらつきを感じたり硬いものを噛むと痛みを感じたりするころには、歯を支える歯槽骨がかなり溶けてなくなってしまっていて回復ができない状態になってしまっている恐ろしい病気です。

そして歯周病を改善して歯ぐきを安定した状態に保つことはお口の中だけでなく、全身の健康に対してもとても大切であることは、もはや常識となりました。

歯周病の治療は以下の①~⑤の流れで進めていきます。                                  

①歯ブラシや歯間ブラシを使ったセルフケアによるプラーク(歯垢)の除去の徹底
②歯石の除去・汚染された歯根面の清潔化
③生活習慣の改善
④歯周外科治療
⑤バイオフィルム(バイキンの塊の膜)を定期的に除去するメインテナンス

 今日は一つ一つについての解説は割愛しまして、④の歯周外科治療についてお話します

 実は最近、歯周病治療のエンドポイント(治療の最終的な目標)が変わったといわれています。これまでの歯周病治療は、プラークコントロールで歯周病菌のえさをとり除き、歯石をきれいに取り除いて、生活習慣を改善することにより、それ以上歯周病を進行させないこと、そしてメインテナンスによりそれを維持することが目標でした。

 歯周外科治療も麻酔をして歯ぐきを開け、通常の歯石取りでは届かない部分の歯石をとり除いたり、細菌に侵され悪くなってしまった歯根の表面を削ったりする方法が主流で「切除療法」と呼ばれていました。

しかし最近の歯周外科治療では、再生療法と呼ばれる方法が行われるようになっています。これは、「リグロス」という歯槽骨を再生する薬剤が保険治療で認可されるようになったからです。

リグロスを使った治療法では、歯ぐきを開けてきれいにした歯根面歯槽骨面リグロスを塗布して新しい歯槽骨をつくっていきます。これにより、今まで行われてきたこれ以上歯槽骨を失わないようにすることから、歯槽骨を再生させることが可能になり、歯周病治療のエンドポイントとなってきました。

もちろんリグロスは万能薬ではありませんので、骨の出来具合は患部の状態にも左右されます。またリグロスを塗布することが向かない場合もあります。

 私は、古くは20数年前のスウェーデンイエテボリ大学研修の頃より、歯槽骨再生治療について学んできました。そして、ここ数年は歯周病治療の日本の第一人者である水上哲也先生のもとでスタッフと共に研鑽を積んできました。

これからも来院してくださる皆様のお口の中を少しでも良い状態にしていくためにがんばっていきますので、よろしくお願いします。